「アニメを仕事に!トリガー流アニメ制作進行読本」感想

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 つい先日前から気になっていた"TRIGGER"というアニメ制作会社のアニメーションプロデューサーをやっている舛本和也さんが執筆した「アニメを仕事に!トリガー流アニメ制作進行読本」という本を買ったので感想を書きたいと思います。本記事は万人向けのレビューではなく、私自身のアニメに対する考えと偏見をふんだんに盛り込んだ感想になりますのでご了承ください。

 

本書を読む前に

 本書を読む前にまず始めにこのTRIGGERの作品である"キルラキル"という作品から少し語らせて頂きます。2013年10月から2014年4月まで放送された24話構成で放送されたアニメですが放送前自分はアホみたいな期待を持っていました。なんといってもあの"グレンラガン"を制作したスタッフですし実質GAINAXのオリジナルアニメ作品と言っても過言では無いでしょうし深夜枠ということでちょっとえっちだったりグロテスクだったりが出来る訳でもう何でも出来るじゃん!やばい!といった感じでした。確かに放送開始数話については自分もかなり良いと思って見ていたのですがその勢いは日に日に減速、15話を超えたあたりからは2週に1回まとめて見るレベルまで落ち込んでいました。よって僕にとってキルラキルは「グレンラガンを超えるどころか並ぶことすら出来なかった凡作」といった位置づけになります。これを前提に本書の感想を書きますので"キルラキルが好きでこの本を買った"という方とはこの時点で全く異なるということをご了承ください。

 

株式会社TRIGGERは思っていたような会社では無かった

 私にとってアニメとは一種の芸術作品と同じであると思っています。監督が「こういった作品を作りたい!」と思ったらその監督を信頼するアニメーター達がペンを取りアニメを作っていく。もしそれが視聴者に受け取られなくても満足するものが作れたならそれでいい。それがアニメであると思っていました。

 しかしながら、本書の42ページ(持っている方はそのページを参照して頂ければ幸いです)において著者である舛本は「最新のアニメ業界の動向を追うことはもちろん映画や音楽、テレビ番組やゲーム、書籍、イベント、インターネット等のあらゆるコンテンツに目を光らせ、視聴者のみなさんの気分を知ることが大事」、というように"マーケティング"を重視するような発言をしています。はっきり言って私の中でこの時点で次回のTRIGGER作品が見たいという気持ちは8割型無くなっていきました。何故なら私の中でアニメ、特に原作の存在しないオリジナルアニメーションについては作りたいと思ったものをぶつけて欲しいと思いましたし、何となくGAINAXが分裂し様々なアニメーション会社を設立している現状が何故いまあるのかを何となく感じ取りました。もしかしたら理由は別かもしれませんが。あ、あと世間でキルラキルという作品は実際忘れかけられてるように感じますしマーケティング失敗してんじゃねーかっていうね。

 

42ページ以降の本書

 本書の42ページ以降ははっきり言って個人的にどうでもいい内容でした。内容的にはTRIGGERがどういった流れでアニメを制作しているかという内容なんですがなんといっても著者である舛本の「俺はすごい仕事をしているんだぞ!」感がすごい鼻につきます。確かにアニメを作る人はそれくらいの意気込みがある方がいいんでしょうが体育会系すぎて自分は"無理"でした。特に新人に対する教育については「こうやって怒れば新人が育つ」という内容が書かれているのですが本当にここら辺が鼻につきます。"無理"という感情がどんどんわいてきます。

 また本書においてキルラキルで使用されたフォントがアホみたいに使用されています。よく2chTwitterにおいて「いまのラノベがヤバすぎる件についてwwwww」みたいな感じでスゴい装飾された文字が書かれた本がバンバン出てきて完全にソレです。"無理"です。挙げ句の果てに自分たちが作ったアニメを「アニメ界に新たな金字塔を打ち立てた超傑作」とまで言う。もう完全に"""無理"""です。さらにはそれだけキルラキルのフォントを用いてキルラキルを推しているにも関わらずキルラキルの制作裏話は特にありませんでした。そういうの書いてくれよ頼むよ。

 

まとめ

 本書を読み、やはり現代のアニメ業界は万人に向けたアニメを作る取り組みが行われており、制作者の個性を求める自分に取っては現代のアニメ業界への失望を感じざる終えませんでした。

 本書の位置づけは「今後アニメ業界を目指している方に対するアニメ制作現場情報」であって「アニメファンに向けたアニメ制作現場情報」という位置ではないと思われます。もちろん前者のような内容の本が欲しいと思っている方にはオススメです。逆に後者のような内容を求めている方はオススメしません。読むだけ無駄と言っても過言では無いように感じました。